七月七日どこに向かおうとしたのか。目標もないままただ突き進んだ二十三年前。 誰になびくわけもなく、自分中心で地球が周っていると思い込んでいた十九の頃。大人達に真正面から反発し英雄気取りで背伸びをしていた夏。離婚した親の生き方を否定し父を呪い…
グレーのタイルに覆われた七階建てのオフィースビル。その四階に株式会社大国の事務所がある。ネオン街から車で五分そこそこの距離だというのに辺りはひっそりと静まりかえっていた。革靴の足音だけが響く。 ビルの正面入り口をぬけるとすぐ右手に管理人室が…
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